ハンセン病は、らい菌(Mycobacteriumleprae)が主に皮膚と神経を侵す慢性の感染症であり、1873年にノルウェーのアルマウェル・ハンセン医師がらい菌を発見して以後、その臨床像が少しずつ明らかにされてきまし た。
らい菌の増殖速度は非常に遅く、潜伏期間は約5年といわれています。発症すると、皮膚・皮下組織の中で痛み・温度などを感じて脳に伝える働きのある末梢知覚神経に障害を来たします。未治療や不十分な治療で経過すると、手足や顔面などの変形、視力障害などの後遺症を引き起こします。感染経路はまだはっきりとはわかっておらず、治療を受けていない患者との頻繁な接触により、鼻や口からの飛沫を介し感染するものと考えられています。
ハンセン病の原因となるらい菌は非常に弱い菌で、多くの人は自然の免疫があるため、たとえ感染しても発症することはほとんどありません。また、発症した場合でも、早期に治療を開始すれば、後遺症を残すことなく完治します。