野外排泄ってこんなに危険!~インドが抱える問題とその背景~ わたなべ(インドインターン日記 vol.78)

カテゴリー:インターン生日記 / インドあれこれ

みなさんこんにちは、ゆーきゃんです!

 

実はこの週末に、今夏のキャンプに参加するメンバーが各村ごとに集まってミーティングをしたり親睦を深め合う、毎キャンプ恒例の「キャンプ前合宿」がつくばで開催されました!

 

渡航を目前に控えているメンバーもおり、どんなキャンプになるのかとても楽しみです!

 

 

 

 

さて、今回はインドの「トイレ事情」に関する話題です。

 

インドは衛生環境があまり良くないという印象を持っている方も多いと思いますが、インドが抱える問題の一つが「野外排泄」の問題です。

 

 

 

2011年の国勢調査によると、インド国内の野外排泄率はなんと49.8%だったそうで、世界一の野外排泄大国と呼ばれるほどでした。

 

国の半分の人が野外排泄をしているなんて状況、日本ではまず考えられないですよね…。

 

私たちが活動しているコロニーでも、多くの人がトイレではなくその辺の空き地や池の近くなどで排泄をしています。

 

実は、野外排泄にはこんな危険が潜んでいるんです。

 

 

 

 

*死亡原因と野外排泄の関係

 

 

JICAによると、インドにおける5歳未満児の死亡原因の第3位は下痢症で、それに続く第4位がその他の感染症や寄生虫を原因とする疾病です。

 

また、5歳未満児のみならず、全年齢における10大死亡原因においても下痢症は第3位を占めています。

 

 

下痢症の主な原因は排泄物の雑菌に汚染された飲食物を摂取することによる経口感染だと言われていて、さらに腸チフス、A型肝炎、ポリオ、回虫症およびサルモネラ症等を含む多くの感染症の伝播には、人間の排泄物が適切に管理・処理されていないことと大きく関係しています。

 

野外排泄によってバクテリアの繁殖や地下水・農産物の汚染が引き起こされ、下痢症や感染症のリスクが高くなることは容易に想像がつきますね。

 

 

 

 

*野外排泄中も危険が

 

 

実は野外排泄が抱える危険性は、これだけにとどまりません。

 

ウッタル・プラデシュ州では2014年5月に、排泄のために外出した10代の少女2人が複数の男に性的暴行を受け、殺害される事件が発生しています。

 

インドでは、野外で排泄を行おうとする際に女性が性的暴行被害に遭うケースが頻発しているそうなんです。

 

 

また女性への性的暴行のみならず、排泄中に野犬や蛇等の動物に襲われ命を落とすケースもあるとのこと。

 

このように、野外排泄をすることによって様々なリスクが発生してしまいます。

 

 

 

そんな状況を改善し、インドの「汚い」というイメージを払拭すべく、モディ首相は2014年に「スワッチ・バーラト(クリーン・インディア)」政策を開始し、屋外での排泄を根絶に向けて政府主導でのトイレ設置に取り組んできました。

 

そのおかげもあり次第にトイレの数も増え野外排泄を強いられる人も減りましたが、せっかくトイレが設置されたのに使われていない…という事例もあります。

 

つまりインドで野外排泄が蔓延っている背景には、もちろんトイレの設置率の低さもありますが、それだけではなく他にも原因があるということですね。

 

それは一体何なのでしょうか?

 

 

 

 

*文化的背景

 

 

実はインド社会では、昔から排泄行為や排泄物は「不浄なもの」であると考えられていました。

 

そのため、そもそも屋内や家屋の周辺で排泄を行うといったことが忌避されていたのです。

 

つまり、もともとインド社会では野外排泄が当たり前となっていて、トイレを使用するという習慣があまり根付いていなかったといえます。

 

トイレを設置してもそれを使用しない、という現状の背景にはこのような事情が潜んでいました。

 

トイレを増やしたとしても、トイレを使う習慣が根付いていなければ状況を改善することにはつながらないということですね。

 

 

 

 

*衛生に関する知識の無さ

 

 

もう一つの原因として、野外排泄の危険性やトイレの必要性、その使用・管理方法についての正しい知識を多くの人が持っていないということが挙げられます。

 

これが理解できていなければ、「トイレを使わなくても別にいいでしょ」という考えに至ってしまい、せっかくトイレがあっても利用されなかったり、倉庫などの他の用途に転用されてしまったりする可能性が出てきます。

 

また、トイレの使用・管理方法が適切でなかったがために排泄物があふれかえって悪臭が漂い、結局使われなくなってしまったという事例も。

 

不適切なトイレの使用は、かえって健康被害を増加させてしまうことにもつながりかねません…。

 

 

 

 

 

今回は、インドで問題になっている「野外排泄」の危険性やその背景にあるものを紹介しました。

 

トイレを設置し普及させることと、それを使う習慣と正しい知識を根付かせること、この2つを同時に行っていくことが、インドでの野外排泄問題を解決するカギになると個人的には思っています。

 

政府が行ってきたクリーン・インディア政策は元々5年間の計画だったため、2019年をもって終了となりますが、トイレ普及率や野外排泄率はどのように改善したのか、その結果がとても気になりますね!

 

 

 

 

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